大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和26年(う)383号 判決

原審第五回公判調書に依れば、同公判に於て原審弁護人から被告人が犯行当時心神喪失の状況に在つたから被告人の行為は罪となることがない旨の主張の為されたことを看取し得る。斯様な主張は刑事訴訟法第三百三十五条第二項に所謂犯罪の成立を阻却する事由に該当することは所論の通りであつて、斯様な主張があつた場合には判決に於て之に対する判断を示すべきものであること、右法条の要求するところであるに拘らず原判決には其判断が示されて居ないから原判決は右法条違背の違法を犯して居るのである。然し絶対的控訴理由を掲げた刑事訴訟法第三百七十八条第四号の「判決に理由を附せず」とは、判決に於て罪となるべき事実(犯罪を構成する積極的要件たる事実)の認定に付て理由を附しなかつた場合を謂う――換言すれば「理由」とは有罪判決を基礎づける処の理由を謂う――と解すべく、犯罪の成立を阻却する事由の説明を欠如する如きは之に含まれないと解すべきであるから、本件の様に右説明を欠如した場合は原判決を破棄すべき絶対的控訴理由に当らないものと謂わねばならぬ。

(後略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!